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OPINION

「国際化」を見据えた医学部の新たな船出~新設された国際医療福祉大医学部の目指すもの~

大友 邦(おおとも・くに)
1954年神奈川県生まれ。79年東京大学医学部卒業。86年同大学医学部附属病院分院放射線科講師。同年米国ワシントン州立大学附属病院放射線科。91年山梨医科大学附属病院放射線部助教授。92年米国ピッツバーグ大学附属病院放射線科客員准教授。95年東京大学医学部附属病院放射線部助教授。98年同大大学院医学系研究科放射線診断学分野教授。2016年国際医療福祉大学学長、東京大学名誉教授。日本ラジオロジー協会代表理事。文部科学省大学設置・学校法人審議会専門委員、日本医学放射線学会理事長、第70回、第74回日本医学放射線学会総会会長、日本磁気共鳴医学会理事、日本専門医機構理事などを歴任。

今春、国際医療福祉大学医学部に第1期生が入学した。政府の東京圏国家戦略特区に、千葉県成田市と共同で「国際医療学園都市構想」を提案。これが認められて医学部開設となった。国際性を重視した医学教育を行い、国内外で活躍出来る医師の育成を目指す。その医学教育や、2020年に開設する「国際医療福祉大学成田病院」の概要などについて、学長に昨年就任した大友邦氏に話を聞いた。

——医学部開設おめでとうございます。いろいろな反対もあり、ご苦労されたのでは?

大友 私が学長に就任したのは昨年4月で、その時点では医学部開設への流れがある程度出来ていました。ご苦労されたのは、高木邦格理事長や歴代の学長をはじめとした多くの方々です。10年以上にわたり議論を重ね、困難はありましたが、多くのご支援を得て、医学部開設が認められました。この時期に学長として医学部の運営に携わっていくことになり、私自身は大きな責任を実感しています。それは、関わっている教職員一同が感じていることだと思います。医学部が開設されたことは確かにうれしいのですが、責任の方がずっと重いというのが正直な気持ちです。

——学長を打診されたのはいつ頃ですか。

大友 一昨年の秋、学長就任の半年ほど前です。高木理事長とのお付き合いは20年近くになります。東京大学勤務時代の教室員がお世話になったり、本学に放射線・情報科学科があることから私の専門である放射線医学関係でご相談を受けたりしていました。

—即決されたのですか。

大友 その頃はまだ医学部が出来るかどうかは、決まっていませんでしたが、それは学長就任についての私の判断にはあまり関係ありませんでした。障害を持つ人も健常な人も、互いを認め合って暮らせる「共に生きる社会」の実現を目指す建学の精神と国際性を目指すといった基本理念に賛同し、ほぼ即決という形で、お受けすることにしました。

充実した実習施設と安い学費

——学長の仕事で最も時間を取られるのは?

大友 学部長、学科長といった役職指定の会議が栃木県大田原市の本校と成田市のキャンパスであり、しっかりと議論を重ねていますので、多くの時間を取られます。さらに大学全体の意思決定のための会議もあります。これまでの1年間に関しては、医学部開設の準備もあり、各地の説明会で講演をしたり、留学生募集に向けた海外出張にも時間を割いたりしました。

——国際医療福祉大学には、矢﨑義雄総長のようなビッグネームの先生方が多数いらっしゃいます。ビッグネームでご苦労されることはないのですか。

大友 そんなことはありませんよ。特に矢﨑先生は、私が東京大学で教授になった当時の医学部長でした。よく存じ上げていますし、私にとっては優しい先輩という感じです。困った時には何でも相談が出来ますから、矢﨑先生が本学でご活躍されているのは、私にとっては心強い限りです。

——医学部の初回入試は、いくつかの予備校の話では、偏差値69〜70という高さだったそうです。

大友 これから正式なデータが出てくると思いますが、倍率は一般入試で27.69倍と高くなりました。多くの優秀な学生が受験してくれた理由について、私どもから申し上げることではないかもしれません。ただ、各種の資料を見て頂ければ、本学には国際医療福祉大学病院と塩谷病院、三田病院、熱海病院の四つの附属病院があり、さらに2020年には成田病院を開設する予定であるとともに、山王病院や化学療法研究所附属病院など、臨床実習を行うグループ内の関連施設が非常に多いことは、分かってもらえると思います。実習をするための施設が、質的にも量的にも充実しているという安心感、信頼感が、入試のレベルを押し上げた要因の一つだったとは思います。

——学費の安さも特筆すべき点ですね。

大友 6年間の総額が1850万円という学費は、私立大学医学部の中では最も安いレベルです。さらに医学部特待奨学生の制度があり、授業料の100%相当額が給付されるため、この制度の対象者は6年間の学費が710万円になります。医師を目指す方に広く門戸を開くことを目的としています。私立大学医学部への進学を目指している方たちにとっては、教育の中身や大学の立地なども重要でしょうが、学費も重要なファクターになるはずです。初回の入試にもかかわらず、倍率が高くなったのには、学費の安さも関係していると思います。

海外での臨床実習にも力を入れる

——教育に関して誇るべき点は?

大友 外国人の教員30人を含め、海外での教育や研究、診療の経験がある方を中心に、300人以上の医学部の教員を揃えました。質、量共に誇れる体制を整えています。医学教育統括センターを作り、専任教員を25人配置するという世界でも類を見ない手厚い布陣にして、きめ細かい指導が出来るようにしました。非常に効率的で中身の濃いカリキュラムを考えています。それから、5000㎡を超える世界最大級の医学教育シミュレーションセンターがあります。私の医学生時代にはシミュレーションセンターという組織がありませんでしたが、現在の医学教育においては重要なものになっています。いろいろな技術、例えば気管挿管などの技術を、患者シミュレーターを使って繰り返し練習することが出来るわけです。また、関連施設が充実しているため、90週の臨床実習を組むことが出来ます。これは世界水準を上回り、日本の医学部平均の倍近い実習時間です。普通に勉強していれば、相当に中身の濃い6年間になると思います。

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